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深掘()りシリーズ 第()3弾() ── 主()流()派()経済()学()(ニューケインジアン)超()入()門()

主()流()派()経済()学()ってなに? ── 世()界()の中()央()銀()行()を動()かす「OS」の中()身()と成()績()表()

新()古()典()派()総()合()、ニューケインジアン、 DSGE 動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル。中()央()銀()行()が使()う標()準()的()な経済()分()析()ツール。 もっと詳()しく → ……呼()び方()はいろいろありますが、これがいまの世()界()の経済()政()策()の標()準()OSです。FRBも日()銀()もECBも、この枠組()みで経済()を分()析()し、金()利()(お金()を借()りるときに上()乗()せして払()う割()合()。預()ける側()は逆()に受()け取()る)を決()めています。「主()流()派()=市()場()原()理()主()義()」という誤()解()も根強()いのですが、実際()の中()身()はもっと 折衷() 対()立()する2つ以()上()の考()え方()の、良()いところを組()み合()わせること。 もっと詳()しく → 的()で、地()味()な修()正()の積()み重()ねでできています。この記()事()では、その強()みと、2008年()・2021年()の失敗()を同()じ重()みで見()ていきます。

短()期()(ケインズ的():価()格()は動()かない) 長()期()(新()古()典()派()的():価()格()は動()く)

↑ これが主()流()派()の正()体()、「新()しい新()古()典()派()総()合()」の一行()まとめ。目()先()の数()年()はケインズの理()屈()(不()況()は需()要()不()足()、政()府()が動()くべき)で見()て、何()十年()もの長()いスパンでは新()古()典()派()の理()屈()(市()場()は最()終()的()に均()衡()する)で見()る。矛()盾()する2つの理()論()を「時()間()の長()さ」で使()い分()ける折衷()の発想()です。

CHAPTER 1

第()1章() 主()流()派()とは何()者()か

「主()流()派()経済()学()」という呼()び方()はニックネームです。正()式()には「 新()しい新()古()典()派()総()合() ケインズ的()な短()期()と新()古()典()派()的()な長()期()を組()み合()わせた、主()流()派()経済()学()の正()式()名()称()。 もっと詳()しく → 」といい、経済()学()の世()界()ではニューケインジアンという呼()び名()でも通()っています(この記()事()では以()下()「ニューケインジアン」と呼()びます)。名()前()のとおり、ケインズ経済()学()と新()古()典()派()経済()学()という、本()来()ぶつかり合()う2つの理()論()を接()ぎ木()した 折衷() 対()立()する2つ以()上()の考()え方()の、良()いところを組()み合()わせること。 もっと詳()しく → 理()論()です。

スマホにたとえると分()かりやすいかもしれません。iOSやAndroidは、普()段()は意()識()しませんが、その上()であらゆるアプリが動()く土()台()です。ニューケインジアンも同()じで、個()別()の経済()政()策()という「アプリ」の下()で動()く、いまの世()界()の経済()政()策()の標()準()OSです。

「主()流()派()」と呼()ばれる根()拠()は、決()して自()称()ではありません。次()のような事()実()があります。

  • 中()央()銀()行()の標()準()モデル: FRB(米()国())・日()銀()・ECB(欧()州())など、世()界()の主()要()な中()央()銀()行()には、政()策()判()断()のシナリオ分()析()に使()う標()準()的()な分()析()モデル( DSGE 動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル。中()央()銀()行()が使()う標()準()的()な経済()分()析()ツール。 もっと詳()しく → 、第()3章()で解()説())があります。これは、ニューケインジアンの枠組()みを数()式()化()したものです。
  • 大()学()院()教()育()の標()準(): 世()界()の経済()学()系()大()学()院()で教()えられるマクロ経済()学()の核()は、この枠組()みが土()台()になっています。
  • 政()策()中()枢()の出身()校(): ベン・バーナンキ(元()FRB議()長())、ジャネット・イエレン(元()FRB議()長()・元()米()財()務()長()官())、ポール・クルーグマン(ノーベル経済()学()賞()受()賞()の経済()学()者()。NYタイムズのコラムニストとしても知()られる)ら。政()策()の中()枢()を担()ってきた経済()学()者()の多()くが、この立場()に立()ちます。
  • インフレ目()標() 中()央()銀()行()が物価()上()昇()率()の数()値()目()標()を公()約()し、予()想()を安()定()させる金()融()政()策()の枠組()み。 もっと詳()しく → 2%()という世()界()標()準(): 「物価()上()昇()率()を2%()に保()つ」という数()値()目()標()は、いまや世()界()の主()要()中()央()銀()行()にほぼ共()通()の指()針()です。この枠組()みが提()供()する処()方()箋()のひとつです。
ここが大()事(): 「主()流()」という言葉()は「常()に正()しい」という意()味()ではありません。「いま、もっとも多()くの経済()学()者()と政()策()当()局()が採()用()している標()準()」という意()味()です。この記()事()は、主()流()派()を経済()学()の「勝()者()」としてではなく、「現()在()の標()準()」として、強()みと失敗()の両()方()を公()平()に見()ていきます。

比()較()地()図()トップの6学派()比()較()のニューケインジアンのカードでは要()点()だけを1枚()で紹()介()していますが、この記()事()ではその成()り立()ちと中()身()、そして成()績()を、もう一()段()深()く掘()り下()げます。なお、経済()学界()全()体()では主()流()派()が圧倒的()なシェアを持()ち、MMT(深掘()り第()2弾())やマルクス経済()学()(深掘()り第()1弾())は少()数()派()です。ただし少()数()派()とはいえ、政()治()や言()論()への影()響()力()は学界()内()のシェア以()上()に大()きいことは、主()流()派()の経済()学()者()自()身()も認()めています(第()6章())。

CHAPTER 2

第()2章() 成()立()史() ── 3回()の危()機()で作()られた

ニューケインジアンは、ある日()突()然()できた理()論()ではありません。約()150年()のあいだに起()きた3回()の大()きな危()機()のたびに、「負()けた側()」の道()具()を取()り込()みながら進()化()してきた、生()き残()りの歴()史()があります。

1870年代()

限()界()革()命() ── 「主()観()的()な満足()度()」で価()格()を説()明()する

それまで主()流()だった考()え方()は「モノの価()値()は、それを作()るのにかかった労()働()時()間()で決()まる」という労()働()価()値()説()でした。これに代()わって、「モノの価()値()は、人()がどれだけ満足()するか(効()用())と、需()要()・供()給()(買()いたい量()と売()りたい量())のバランスで決()まる」という考()え方()が経済()学()の主()流()になりました。これが現()代()の新()古()典()派()経済()学()の出発()点()です。

1929〜1936年()

大()恐()慌()とケインズ『一般()理()論()』

1929年()に始()まった大()恐()慌()は、「放()っておけば市()場()は自()動()的()に回()復()する」という新()古()典()派()の楽観()論()を打()ち砕()きました。ジョン・メイナード・ケインズは1936年()の『雇()用()・利()子()および貨()幣()の一般()理()論()』で、不()況()の原()因()を「需()要()不()足()」に求()めました。そして、政()府()が財()政()出()動()(公()共()事()業()や給()付()金()などで政()府()が自()ら支()出()を増()やす政()策())で需()要()を作()り出()すべきだと説()きました。

戦()後()(1940〜60年代())

サミュエルソンらの「新()古()典()派()総()合()」

ポール・サミュエルソンらが、ミクロ経済()学()(個々()の価()格()や取引()の分()析())は新()古()典()派()、マクロ経済()学()(景()気()全()体()の分()析())はケインズ、という役()割()分()担()で2つの理()論()を1つの教()科()書()にまとめました。これが「新()古()典()派()総()合()」で、いまのニューケインジアンの直()接()の祖()先()にあたります。

1970年代()

スタグフレーションでケインズ派()が失墜()

インフレと失()業()が同()時()に進()行()する「スタグフレーション」が先()進()国()を襲()いました。「政()府()が需()要()を増()やせば景()気()は良()くなる」というケインズ的()な処()方()箋()が、通()用()しなくなったのです。ケインズ経済()学()は威()信()を大()きく失()います。

1970〜80年代()

フリードマンとルーカスの批()判()

ミルトン・フリードマンは、インフレの根本()原()因()は「お金()の刷()りすぎ」だと主()張()し(マネタリズム)、政()府()の裁()量()的()な景()気()対()策()を批()判()しました。さらにロバート・ルーカスは、「人々()は政()策()の変()化()を見()越()して行()動()を変()える」と指()摘()しました。だから「過()去()のデータで作()ったケインズ的()な経済()モデルは、政()策()が変()わった瞬()間()に使()い物()にならなくなる」というのです(ルーカス批()判())。この2つの批()判()が、旧()来()のケインズ経済()学()の理()論()的()な土()台()を大()きく揺()さぶりました。

1980〜90年代()

ニューケインジアンの成()立()

ここで主()流()派()は、フリードマンとルーカスの批()判()を「無()視()」するのではなく「吸()収()」する道()を選()びます。合()理()的()期()待()(ルーカスの道()具())を前()提()としながらも、「なぜ価()格()や賃金()はすぐには動()かないのか」をミクロ経済()学()の言葉()で説()明()し直()しました(第()3章()の価()格()の粘()着()性())。こうしてケインズ的()な結()論()(不()況()は需()要()不()足()、政()策()が効()く)を、理()論()的()に立()て直()したのです。これが「 新()しい新()古()典()派()総()合() ケインズ的()な短()期()と新()古()典()派()的()な長()期()を組()み合()わせた、主()流()派()経済()学()の正()式()名()称()。 もっと詳()しく → 」ことニューケインジアンです。

研()究()の現()在()地()メモ ── 折衷() 対()立()する2つ以()上()の考()え方()の、良()いところを組()み合()わせること。 もっと詳()しく → 主()義()という進()化()のパターン: 危()機()が起()きるたびに、批()判()側()の道()具()を取()り込()んで理()論()を作()り直()す──これがニューケインジアンの生()き延()び方()のパターンです。
もっと詳()しく:このパターンの中()身()と、ボルカー・ショックの位()置()づけ

この歴()史()をたどると、ある型()が見()えてきます。危()機()が起()きる→それまでの主()流()派()が説()明()に失敗()する→批()判()側()の道()具()(ケインズの需()要()不()足()論()、フリードマンの貨()幣()数()量()論()、ルーカスの合()理()的()期()待())が台()頭()する→主()流()派()はその道()具()を取()り込()んで理()論()を作()り直()す。ニューケインジアンは、一()度()も「純()粋()な勝()利()」で成()立()した理()論()ではなく、負()けるたびに相()手()の武()器()を取()り込()んで生()き延()びてきた 折衷() 対()立()する2つ以()上()の考()え方()の、良()いところを組()み合()わせること。 もっと詳()しく → 主()義()の産()物()です。この性()格()は、2008年()やコロナ後()のインフレという新()しい危()機()にも、同()じパターンで表()れます(第()5章())。

なお、1970年代()末()〜80年代()初()頭()にFRBのボルカー議()長()が強()烈()な金()融()引()き締()めでスタグフレーションを鎮()めた出来事()があります。この出来事()は、「金()融()政()策()こそ物価()安()定()の鍵()」というマネタリズムの発想()が、ニューケインジアンに取()り込()まれる転()換()点()にもなりました。

CHAPTER 3

第()3章() 道()具()箱()の中()身()

ニューケインジアンの理()論()を実際()に動()かしている「道()具()」は、大()きく4つあります。専()門()用()語()が並()びますが、ひとつずつ身近()なたとえでほどいていきます。

①価()格()の粘()着()性() ── メニューを毎()日()刷()り直()さない理()由()

レストランがメニュー表()の値()段()を変()えるとき、印()刷()し直()すコストと手()間()がかかりますよね。経済()学()ではこれを メニューコスト 価()格()を変()更()する際()にかかるコスト。企()業()がすぐには値()段()を変()えない理()由()の一()つ。 もっと詳()しく → と呼()びます。値()段()を変()えること自()体()にコストがかかるなら、企()業()は景()気()が少()し悪化()したくらいでは、すぐには値()下()げしません。これが「価()格()の粘()着()性()」(価()格()がすぐには動()かない性()質())の正()体()のひとつです。あなたがよく行()くお店()が、値()上()げのお知()らせを出()すまでに時()間()がかかるのも、これと同()じ理()由()です。

もうひとつの支()えが独()占()的()競()争()という考()え方()です。コンビニのおにぎりのように、世()の中()には「似()ているけど微()妙()に違()う商()品()」があふれています。まったく同()じ商()品()を売()る完()全()競()争()とは違()い、各()社()は自()社()商()品()について多()少()なら自()分()で値()段()を決()められる立場()にいます。だから、需()要()が減()っても、みんな一斉()に値()下()げ競()争()へなだれ込()むわけではありません。この2つが、「不()況()になっても価()格()や賃金()がすぐには調()整()されない」というケインズ的()な前()提()に、ミクロ経済()学()からの理()論()的()な裏()付()け(ミクロ的()基()礎())を与()えました。

② テイラールール インフレ率()のズレと需()給()ギャップから、目()標()金()利()を機()械()的()に算()出()する公()式()。 もっと詳()しく → ── エアコンの自()動()運()転()のような金()利()の決()め方()

テイラールール インフレ率()のズレと需()給()ギャップから、目()標()金()利()を機()械()的()に算()出()する公()式()。 もっと詳()しく → は、エアコンの自()動()運()転()に近()い発想()の道()具()です。部屋()の温()度()(インフレ率()が目()標()からどれだけ離()れているか)と、外()の気()温()(実際()の景()気()と潜()在()的()な実()力()の差()= 需()給()ギャップ 経済()全()体()の需()要()と供()給()能()力()の差()。プラスはインフレ圧()力()、マイナスはデフレ圧()力()。 もっと詳()しく → )を見()て、設定()温()度()(政()策()金()利()。中()央()銀()行()が上()げ下()げする基()準()の金()利())を機()械()的()に算()出()する公()式()です。経済()学()者()ジョン・テイラーが1993年()に提()案()しました。中()央()銀()行()の「そのときの気()分()」ではなく、ルールに沿()って動()くことで、市()場()が「次()に何()をするか」を予()測()しやすくする狙()いがあります。実()務()では、このルールに完()全()に従()うわけではなく、判()断()の参()考()材()料()のひとつとして使()われています。この政()策()金()利()が動()くと、あなたの住()宅()ローンの金()利()や、銀()行()預()金()の金()利()も連()動()して動()きます。

③ インフレ目()標() 中()央()銀()行()が物価()上()昇()率()の数()値()目()標()を公()約()し、予()想()を安()定()させる金()融()政()策()の枠組()み。 もっと詳()しく → 2%()と期()待()の管()理() ── 「信()じさせること」自()体()が道()具()

ここがニューケインジアンでいちばん独()特()な発想()です。中()央()銀()行()が「物価()上()昇()率()を2%()にする」と宣()言()し、企()業()や労()働()者()、私()たちみんなが「まあだいたい2%()くらいで動()くだろう」と信()じること自()体()が、政()策()の道()具()になります。みんなが「来()年()もこの物価()水()準()だろう」と予()想()して価()格()や賃金()を決()めれば、実際()にその予()想()どおりに落()ち着()きやすくなるからです。逆()に、この「信()頼()」が崩()れると、みんなの予()想()がバラバラになり、物価()はかえって不()安()定()になります。あなたが給()料()の交()渉()や値()上()げのニュースを見()るときに感()じる「これくらいは物価()が上()がるだろう」という感()覚()も、この期()待()の一()部()です。世()界()で最()初()に正()式()な インフレ目()標() 中()央()銀()行()が物価()上()昇()率()の数()値()目()標()を公()約()し、予()想()を安()定()させる金()融()政()策()の枠組()み。 もっと詳()しく → を導()入()したのはニュージーランドで、1990年()のことでした。そこから主()要()な中()央()銀()行()に広()がっていきます。

④ DSGE 動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル。中()央()銀()行()が使()う標()準()的()な経済()分()析()ツール。 もっと詳()しく → モデル ── 経済()版()のフライトシミュレーター

DSGE 動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル。中()央()銀()行()が使()う標()準()的()な経済()分()析()ツール。 もっと詳()しく → は「動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル」の略()です。家()計()・企()業()・政()府()・中()央()銀()行()という「登()場()人()物()」それぞれが、将()来()を予()想()しながら行()動()する様()子()を、コンピュータの中()で再()現()する精()巧()なフライトシミュレーターのようなものです。「動()学()的()」は時()間()とともに変()化()すること、「確()率()的()」は予()測()できないショックが起()きること、「一般()均()衡()」はすべての市()場()が同()時()につながっていること、をそれぞれ表()しています。FRB・日()銀()・ECBが政()策()のシナリオ分()析()に使()う標()準()ツールのひとつです(FRBの主()力()はFRB/USという大()規()模()推()計()モデルで、 DSGE 動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル。中()央()銀()行()が使()う標()準()的()な経済()分()析()ツール。 もっと詳()しく → 系()はこれを補()完()する位()置()づけです)。

研()究()の現()在()地()メモ ── 道()具()箱()の弱()点(): このシミュレーターにも死()角()がありました。2008年()当()時()の標()準()的()な DSGE 動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル。中()央()銀()行()が使()う標()準()的()な経済()分()析()ツール。 もっと詳()しく → モデルの多()くは、銀()行()や金()融()システムの動()きをきちんと組()み込()んでいませんでした。「金()融()危()機()が起()きる仕()組()み」自()体()がモデルの外()にあったため、危()機()を事()前()に見()通()せなかった、という反()省()は主()流()派()の内()部()からも出()ています(第()5章()で詳()しく)。
CHAPTER 4

第()4章() 実()は認()めていること ── よくある誤()解()の解()消()

主()流()派()経済()学()は、SNSや言()論()の中()で、実際()の主()張()よりずっと硬()直()的()なイメージで語()られがちです。よくある3つの誤()解()を、順()番()に解()いていきます。

誤()解()①「主()流()派()=市()場()原()理()主()義()」ではない

「市()場()に任()せておけば万()事()うまくいく」という考()え方()は、市()場()への介()入()を最()小()限()にすべきという立場()(オーストリア学()派()など。詳()しくは比()較()地()図()トップを参()照())には当()てはまりますが、ニューケインジアンの主()流()はそうではありません。市()場()が失敗()する場()面()もあります。公()害()のような負()の外()部()性()、レモン(欠陥()品())を売()り手()だけが知()っている中()古()車()市()場()のような情()報()の非()対()称()性()です。これらは、主()流()派()経済()学()自()身()が理()論()的()に研()究()してきたテーマです。環()境()税()(炭()素()税()など)の理()論()的()な裏()付()けも、主()流()派()の伝()統()的()な考()え方()(汚()染()という負()の外()部()性()に価()格()をつけるピグー税()の発想())から来()ています。最()低()賃金()についても、単()純()に「上()げれば必()ず失()業()が増()える」という予()測()だけで語()られる時()代()は終()わりつつあります。実証()研()究()の蓄()積()によって「効()果()は条()件()次()第()」という理()解()が広()がった結果()、主()流()派()の経済()学()者()の中()にも最()低()賃金()の引()き上()げを支()持()する人()は少()なくありません。

研()究()の現()在()地()メモ ── 再()分配()をめぐる論()争(): 「主()流()派()は格()差()を無()視()する」というのも一()面()的()です。所()得()や資()産()の格()差()そのものを主()流()派()の枠組()みで分()析()する研()究()は活発()です。たとえばトマ・ピケティの「資()本()収()益()率()(r)が経済()成()長()率()(g)を上()回()るほど格()差()が拡()大()する」という議()論()は、世()界()的()に大()きな注()目()を集()めました。ただしこの議()論()は主()流()派()の中()でも論()争()的()で、r と g の因果()関()係()そのものに疑()問()を投()げかける研()究()(IMFのGóesによる2016年()の論()文()など)もあります。「主()流()派()は一()枚()岩()で格()差()に無()関()心()」ではなく、「格()差()の理()論()化()のしかたをめぐって主()流()派()の内()部()でも論()争()がある」というのが正()確()な姿()です。

誤()解()②「合()理()的()なロボットを仮()定()している」は過()去()の話()

「経済()学()は、人間()を常()に合()理()的()な計()算()機()のように扱()う」というイメージも、いまはズレています。心()理()学()者()ダニエル・カーネマンと故()エイモス・トベルスキーが行()動()経済()学()を切()り拓()きました。人()は損()失()を利()益()より重()く感()じる、目()先()の誘()惑()に弱()い、といった人間()の「クセ」を経済()理()論()に組()み込()む分()野()です。この行()動()経済()学()は、2000年代()以()降()、主()流()派()経済()学()の中()心()部()に統()合()されてきました。カーネマンは2002年()に、行()動()経済()学()の「ナッジ」で知()られるリチャード・セイラーは2017年()に、それぞれノーベル経済()学()賞()を受()賞()しています。「合()理()的()な人間()」を仮()定()した理()論()は、いまも分()析()の出発()点()としては使()われますが、それだけで終()わる時()代()はとうに過()ぎました。行()動()経済()学()そのものの中()身()と、その後()の再()現()性()危()機()については、深掘()り第()4弾()「行()動()経済()学()ってなに?」で詳()しく扱()っています。

誤()解()③「信()用()乗()数()の教()科()書()どおり」も過()去()

昔()ながらの教()科()書()は、「中()央()銀()行()がお金()(マネタリーベース)を増()やす→銀()行()がそれを元手()に、決()まった倍()率()まで機()械()的()に貸()し出()しを増()やす(信()用()乗()数())」という順()番()で銀()行()の貸()し出()しを説()明()してきました。しかし実際()の銀()行()は、誰()かの預()金()を元手()に貸()しているのではありません。貸()し出()しと同()時()に、借()り手()の口()座()に新()しい預()金()を記()帳()して生()み出()しています。「貸出()が預()金()を生()む」——これを 内()生()的()貨()幣() 銀()行()が貸出()と同()時()に、借()り手()の口()座()へ新()しい預()金()を記()帳()して生()み出()す仕()組()み。 もっと詳()しく → と呼()びます。この理()解()は、2014年()にイングランド銀()行()(英()国()の中()央()銀()行())自()身()が『四半()期()報()告()書()』で公()式()に認()めたもので*1、いまや主()流()派()も含()めた現()代()の標()準()的()な理()解()です。ただし主()流()派()は、この事()実()を認()めたうえで「それでも中()央()銀()行()は金()利()を通()じて、最()終()的()に貨()幣()の量()と経済()全()体()をコントロールできる」と付()け加()えます。この最()後()の一()文()をめぐる評()価()の違()いが、次()の第()6章()で見()るMMTとの論()争()の核()心()のひとつになります。

研()究()の現()在()地()メモ ── 教()科()書()と実()務()の乖()離()(2026年()7月()時()点()): 教()科()書()の説()明()は、いまの中()央()銀()行()の実際()のやり方()から遅()れています。FRB自()身()のエコノミストがそれを指()摘()しました。
もっと詳()しく:アンプル・リザーブ体()制()と、教()科()書()が遅()れている中()身()

内()生()的()貨()幣() 銀()行()が貸出()と同()時()に、借()り手()の口()座()へ新()しい預()金()を記()帳()して生()み出()す仕()組()み。 もっと詳()しく → の理()解()は、実()務()の側()ではさらに先()を行()っています。FRBは2019年()1月()、政()策()金()利()の制()御()方()式()を「 アンプル・リザーブ体()制() FRBが2019年()から採()用()する、管()理()金()利()で政()策()金()利()を制()御()する方()式()。 もっと詳()しく → 」として恒()久()的()な枠組()みに正()式()採()用()しました。中()央()銀()行()が公()開()市()場()操()作()で準()備()預()金()の量()を絞()り込()む「希()少()性()の操()作()」ではありません。IORB(準()備()預()金()付()利())などの管()理()金()利()を設定()することで、金()利()をコントロールする方()式()です。

ところが、マンキューをはじめとする定()番()の入()門()教()科()書()の多()くは違()います。いまなお「中()央()銀()行()がマネタリーベースを増()やす→銀()行()が信()用()乗()数()どおりに貸()し出()しを増()やす」という貨()幣()乗()数()モデルを土()台()に残()したままです。そこにIORBの説()明()を継()ぎ足()すだけの構()成()にとどまっています。象()徴()的()なのは、FRB自()身()のエコノミストによる指()摘()です。Ihrig and Wolla*2は、代()表()的()な入()門()教()科()書()6冊()を15の概()念()で採()点()し、半()数()が アンプル・リザーブ体()制() FRBが2019年()から採()用()する、管()理()金()利()で政()策()金()利()を制()御()する方()式()。 もっと詳()しく → との整()合()性()で「マイナス評()価()」だったと報()告()しました。「中()の人()」自()身()が、教()科()書()の遅()れを指()摘()した形()です。

こうした乖()離()を埋()めようという動()きもあります。無()料()のオープンアクセス教()材()CORE Econ『The Economy』は、信()用()創()造()を最()初()から現()代()の銀()行()システムの文()脈()で教()える構()成()をとっています。世()界()560を超()える教()育()機()関()で採()用()されています。

図()で見()る: この「貸出()が預()金()を生()む」しくみは、深掘()り第()2弾()「MMTってなに? 第()2章()」の2階()建()て図()で解()説()しています。国()債()の利()息()や銀()行()預()金()の利()息()まで含()めた、お金()が生()まれて消()えるまでの全()体()像()は、外()部()サイト「お金()は生()まれて、消()える(信()用()創()造()のしくみ)」でさらに詳()しく解()説()しています。

CHAPTER 5

第()5章() 成()績()表() ── 勝()ちと負()けを正()直()に

主()流()派()を「現()在()の標()準()」として公()平()に評()価()するなら、成()功()だけでなく失敗()も同()じ重()さで見()る必()要()があります。ここでは勝()ちと負()けを両()方()、正()直()に並()べます(2026年()7月()時()点()の評()価()です)。

◎ 勝()ち

大()平()穏()期() 1980年代()半()ばから2007年()ごろまで続()いた、物価()も景()気()も穏()やかだった時()代()。 もっと詳()しく → (Great Moderation): 1980年代()半()ばから2007年()ごろまで、インフレも景()気()変()動()も比()較()的()穏()やかな約()20年間()が続()きました。ニューケインジアン的()な金()融()政()策()運()営()の成()果()とする見()方()が有()力()です。ただし「政()策()が良()かったのか、経済()を襲()うショックが小()さかっただけなのか」は、いまも決着()していません。

2度()の恐()慌()回()避(): 2008年()の金()融()危()機()とコロナ禍()という2つの深()刻()なショックがありました。ゼロ金()利()+量()的()緩()和()+財()政()出()動()というこの枠組()みの応()用()によって、いずれも1930年代()型()の大()恐()慌()への転()落()を回()避()しています。

2022〜23年()の利()上()げでインフレ鎮()静()化(): 世()界()的()な急()速()利()上()げによって、深()刻()な不()況()を伴()わずにインフレを落()ち着()かせつつあります。あなたが感()じた住()宅()ローンや預()金()金()利()の上()昇()は、この利()上()げの直()接()の結果()です。直近()の実()務()的()な成()功()例()です。

△ 負()け

2008年()危()機()を予()測()も防()止()もできず: 第()3章()で見()たとおり、当()時()の標()準()的()な DSGE 動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル。中()央()銀()行()が使()う標()準()的()な経済()分()析()ツール。 もっと詳()しく → モデルの多()くが銀()行()や金()融()システムの動()きをきちんと組()み込()んでいませんでした。「金()融()危()機()が起()きる仕()組()み」自()体()がモデルの外()にあったため、危()機()を事()前()に見()通()せなかったというのが、主()流()派()内()部()からも指()摘()される最()大()の一因()です。

2021年()インフレを「一時()的()」と誤()判()定(): コロナ後()のインフレの兆()しに対()し、多()くの中()央()銀()行()が「一時()的()(transitory)」と判()断()し、対()応()が遅()れました。この誤()診()断()は、主()流()派()自()身()が繰()り返()し認()めている失敗()です。

自()己()採()点()の最()前()線() ── 3つの公()式()レビュー

「一時()的()」という誤()診()断()は、言()いっぱなしでは終()わりませんでした。2024〜25年()にかけて、FRB・ECB・日()銀()という世()界()最()大()級()の中()央()銀()行()3行()がそろって、自()らの金()融()政()策()の枠組()みを総()括()する公()式()レビューを完()了()させています。失敗()を公()式()文()書()で認()め、そのうえで枠組()みそのものを直()す――主()流()派()の自()己()修()正()の物語()として、順()に見()ていきます。

FRBは2025年()8月()、枠組()みレビューを完()了()させました(ジャクソンホール会()議()で公()表())。柱()は2つあります。2020年()に導()入()した「 FAIT 平()均()インフレ目()標()。過()去()の未()達()を将()来()のオーバーシュートで埋()め合()わせる戦()略()。 もっと詳()しく → (平()均() インフレ目()標() 中()央()銀()行()が物価()上()昇()率()の数()値()目()標()を公()約()し、予()想()を安()定()させる金()融()政()策()の枠組()み。 もっと詳()しく → 、過()去()のインフレ未()達()を将()来()のオーバーシュートで埋()め合()わせる戦()略())」の撤回()。そして、雇()用()の「不()足()(shortfalls)にのみ対()応()する」という非()対()称()な文()言()の削()除()です。伝()統()的()な柔()軟()な インフレ目()標() 中()央()銀()行()が物価()上()昇()率()の数()値()目()標()を公()約()し、予()想()を安()定()させる金()融()政()策()の枠組()み。 もっと詳()しく → (FIT)への回()帰()であり、2%()目()標()自()体()は維()持()されました。パウエル議()長()は講()演()でこう振()り返()っています。

「意()図()的()で緩()やかなインフレのオーバーシュートという発想()は、結局()のところ出()番()がありませんでした(原()文(): "had proved irrelevant")。2020年()の変()更()を発表()した数()か月()後()に到()来()したインフレには、意()図()的()なものも緩()やかなものも何()もなかった」

ジェローム・パウエルFRB議()長()、2025年()8月()22日() ジャクソンホール講()演()

イエレン財()務()長()官()(当()時())も2022年()5月()31日()、CNNのインタビューで「当()時()、インフレがたどる道()筋()について私()は間()違()っていた」と率直()に認()めています。

ECBも2025年()6月()30日()、対()称()的()な2%()目()標()を再()確()認()する戦()略()評()価()を公()表()しました。評()価()自()体()は「革()命()ではなく進()化()」と評()される小()幅()な微()修()正()にとどまりました。それでも、需()要()主()導()のインフレに軸()足()を置()きすぎ、ウクライナ後()のエネルギーショックのような供()給()要()因()を過()小()評()価()していた枠組()みの限()界()を、反()省()点()として挙()げています。次()回()の評()価()は2030年()の予()定()です。

日()銀()は2024年()12月()19日()、「金()融()政()策()の多()角()的()レビュー」を公()表()しました。ゼロ金()利()政()策()・量()的()質()的()緩()和()(QQE)・イールドカーブコントロール・マイナス金()利()という約()25年()分()の非()伝()統()的()政()策()を、論()文()46本()とアンケート調()査()で総()括()しました。世()界()の主()要()中()央()銀()行()として、初()の本()格()的()な検()証()です。自()己()評()価()は両()論()併()記()です。QQEについては「導()入()当()初()に想()定()していたほどの効()果()は発揮()せず」としつつ、非()伝()統()的()政()策()全()体()としては「一定()の副()作()用()はあったが、全()体()としてみればプラス」としています。

エコノミストの受()け止()めも割()れました。

  • 早()川()英男()氏(): FRBやECBのようなフォワードルッキングな戦()略()の策()定()を欠()くと批()判()。
  • 渡辺()努()氏(): 副()作()用()は緩()和()効()果()に比()べ相()対()的()に小()さかったと擁()護()。
  • 河野()龍()太()郎()氏(): 膨()張()したバランスシートの正()常()化()には数()十年()を要()すると後()遺()症()リスクを指()摘()。

この総()括()の背()景()には、日()銀()の金()融()政()策()そのものの大()きな転()換()があります。2024年()3月()にマイナス金()利()とYCCを解()除()して以()降()、段()階()的()な利()上()げを重()ね、2026年()6月()16日()に政()策()金()利()を1.0%()まで、9月()18日()には1.25%()まで引()き上()げました(2026年()10月()時()点())。黒田()体()制()の10年間()、大()規()模()緩()和()を続()けても2%()の物価()目()標()を安()定()的()に達成()できませんでした。この経()験()から、「金()融()政()策()だけで人々()の期()待()を抜本()的()に転()換()するのは難()しい」というのが学界()の総()括()になりつつあります。岩()田()規()久()男()氏()らリフレ派()の論()客()は2024年()の解()除()を「どうして焦()って決()めてしまったの?」と批()判()しています(東()洋()経済()オンラインのインタビュー、2024年()3月()22日())。一方()、翁()邦()雄()氏()・福田()慎一()氏()・小林()慶()一郎()氏()ら、リフレ派()とは異()なる立場()からの評()価()も有()力()です。どちらが学界()の多()数()かを示()す体()系()的()な調()査()は見()当()たらず、評()価()は分()かれたままです(2026年()7月()時()点())。

研()究()の現()在()地()メモ ── 2021年()インフレをめぐる事()後()の実証()研()究()・修()正()の最()前()線()(2026年()7月()時()点()): なぜインフレ急()騰()を見()抜()けなかったのかを説()明()する新()しい理()論()がいくつも出()ていますが、どれも決着()していません。
もっと詳()しく:供()給()ショック説()の実証()研()究()と、FTPL・HANK・非()線()形()フィリップス曲()線()という「修()正()の最()前()線()」

なぜ「一時()的()」という判()断()が外()れたのか。事()後()的()な実証()研()究()がここに角()度()を与()えています。ベン・バーナンキ(元()FRB議()長())とオリヴィエ・ブランシャール(元()IMFチーフエコノミスト)の分()析()*3は、インフレ急()騰()の主()因()を供()給()ショックに求()めています。急()騰()分()の2/3〜3/4ほどは供()給()要()因()で説()明()できるとしています。賃金()と物価()が連()鎖()的()に上()昇()するスパイラルの寄()与()は小()さかった、とも結()論()づけています。フランス・イギリス・中国()の中()央()銀()行()でも似()た分()析()が再()現()されています。

同()時()に、なぜ急()騰()そのものを見()通()せなかったかを説()明()する「修()正()の最()前()線()」も動()いています。財()政()収()支()と物価()水()準()を直()接()結()びつける財()政()物価()水()準()理()論()( FTPL 財()政()物価()水()準()理()論()。財()政()収()支()と物価()水()準()を直()接()結()びつける理()論()。 もっと詳()しく → 、代()表()的()論()者()はジョン・コクラン)は、2021〜23年()のインフレを「財()政()現()象()」と位()置()づけ、注()目()を集()めました。ただし主()流()派()内()のコンセンサスというより、有()力()な一()潮流()という段()階()にとどまります。

家()計()ごとの異()質()性()(その日暮()らしの家()計()と余()裕()のある家()計()の違()い)を組()み込()んだ HANK 家()計()ごとの所()得()・資()産()の違()いを組()み込()んだニューケインジアンモデル。 もっと詳()しく → モデルは、学()術()研()究()では主()流()化()が進()んでいます。一方()、中()央()銀()行()の実()務()では計()算()負()荷()の重()さから、簡()易()版()(TANK/T HANK 家()計()ごとの所()得()・資()産()の違()いを組()み込()んだニューケインジアンモデル。 もっと詳()しく → など)を含()めて補()完()的()な位()置()づけにとどまります。

もうひとつの候()補()が「非()線()形()フィリップス曲()線()」です。欠()員()・失()業()比()率()がある閾()値()(v/u比()≒()1)を超()えると、物価()上()昇()圧()力()が急()に強()まるという考()え方()です(逆()L字()型()、Benigno and Eggertsson, 2023)。インフレ急()騰()を過()小()評()価()した理()由()の説()明()として有()力()視()されています。一方()でBeaudry et al.(2025)の研()究()は、関()数()形()の設定()次()第()で結果()が変()わりやすいと頑()健()性()を疑()問()視()しており、こちらも論()争()中()です(2026年()7月()時()点())。

判()定(): 大()きな回()復()力()と、大()きな見()落()とし ── 危()機()を防()げたことは一()度()もないが、危()機()からの生()還()率()は高()い

CHAPTER 6

第()6章() 挑()戦()者()たちから見()た主()流()派()

主()流()派()に対()しては、MMTとマルクス経済()学()という2つの挑()戦()者()から、それぞれ違()う角()度()の批()判()が寄()せられています。ここでは要()約()だけを紹()介()し、詳()しくは各()深掘()りページに譲()ります。

MMTから見()た主()流()派()

△ MMTからの批()判()

MMT論()者()は主()流()派()の教()科()書()的()な説()明()を、大()きく3点()で批()判()します。①貸付()資()金()説()の誤()り: 「家()計()の貯()蓄()が銀()行()を通()じて企()業()の投()資()に回()る」という教()科()書()の説()明()は、実際()の銀()行()貸出()の順()番()(貸出()が預()金()を生()む、第()4章()③)と逆()だという指()摘()。②金()利()万()能()主()義(): 不()況()やインフレへの対()応()を金()利()という一()つの道()具()に頼()りすぎており、財()政()政()策()の役()割()を過()小()評()価()しているという批()判()。③通()貨()発行()者()と利()用()者()の混()同(): 自()国()通()貨()を発行()できる政()府()を、普()通()の家()計()や企()業()と同()じ「予()算()の制()約()」で扱()うのは誤()りだという指()摘()です。

◎ 主()流()派()の再()反()論()

主()流()派()は、 内()生()的()貨()幣() 銀()行()が貸出()と同()時()に、借()り手()の口()座()へ新()しい預()金()を記()帳()して生()み出()す仕()組()み。 もっと詳()しく → の事()実()(貸出()が預()金()を生()む)自()体()は認()めます。そのうえで「それでも中()央()銀()行()は金()利()を通()じて、最()終()的()に貨()幣()量()と経済()全()体()をコントロールできる」と応()じます(第()4章()③)。さらに財()政()政()策()の機()動()性()についても懐()疑()的()です。サマーズ・ロゴフ・クルーグマンらは2019年()に集()中()して批()判()を展()開()しました。その核()心()は、「インフレが起()きたあとに、議()会()が機()動()的()に増()税()や支()出()削()減()を決()断()するのは政()治()的()にほぼ不()可()能()」というものでした。独()立()した中()央()銀()行()が機()敏()に動()かせる金()利()のほうが、実()務()的()に優()れているという立場()です。

MMT側()の反()論()も含()めた両()論()の詳()細()は、深掘()り第()2弾()「MMTってなに? 第()4章()」で尽()くしています。

マルクスから見()た主()流()派()

△ マルクスからの批()判()

マルクス経済()学()からの批()判()は、階()級()と危()機()の内()生()性()の欠()如()に集()約()されます。主()流()派()のモデルの多()くは、資()本()を持()つ側()と労()働()力()しか売()るものがない側()という力()関()係()(階()級())を分()析()の中()心()には置()いていません。恐()慌()も「外()からのショック」や「一時()的()な調()整()の失敗()」として扱()いがちです。マルクスにとって、恐()慌()は資()本()主()義()という体()制()そのものに組()み込()まれた必()然()でした(深掘()り第()1弾() 第()6章()参()照())。

◎ 主()流()派()の再()反()論()

主()流()派()からは3つの反()論()があります。①限()界()革()命()後()は労()働()価()値()説()が不()要()に: 1870年代()の限()界()革()命()(第()2章())以()降()、価()格()は効()用()と需()給()で説()明()できるようになりました。労()働()価()値()説()を前()提()にしなくても、同()じ現()象()を扱()えるようになったのです。②転()形()問()題(): マルクスの価()値()論()(労()働()時()間()が価()値()を決()める)を現()実()の価()格()(生()産()価()格())にうまくつなげられるかは、長()年()の論()争()の対()象()です。③計()算()論()争(): 中()央()計()画()経済()は市()場()価()格()なしに資()源()配()分()を効()率()的()に決()められない、という論()点()です。もともとはオーストリア学()派()のミーゼス・ハイエクが提()起()したもので、主()流()派()の側()からはランゲらが『市()場()社()会()主()義()』で応()答()しました。決着()の評()価()は分()かれますが、社()会()主()義()計()画()経済()が市()場()経済()との「体()制()間()競()争()」で後()退()した歴()史()とも重()なる、という指()摘()もあります。

価()値()形()態()論()・物象()化()論()に立()った現()代()のマルクス研()究()の視()点()は、深掘()り第()1弾()「中()学()生()からわかる『資()本()論()』 第()7章()」で詳()しく比()較()しています。

ここがポイント: どちらの批()判()も「的()外()れ」ではありません。 内()生()的()貨()幣() 銀()行()が貸出()と同()時()に、借()り手()の口()座()へ新()しい預()金()を記()帳()して生()み出()す仕()組()み。 もっと詳()しく → や行()動()経済()学()のように、主()流()派()が一()部()の批()判()を実際()に吸()収()してきたことは第()4章()で見()たとおりです。同()時()に、金()利()への依()存()度()や階()級()・危()機()の内()生()性()のように、いまも埋()まっていない溝()も残()っています。批()判()が完()全()に無()視()されるわけでも、完()全()に受()け入()れられるわけでもない——このせめぎ合()いこそが、主()流()派()を少()しずつ作()り替()えてきた原()動()力()です(第()2章()・第()7章())。
CHAPTER 7

第()7章() まとめ ── 折衷()の現()在()形()

ここまで見()てきたように、ニューケインジアンは固()定()した教()義()ではありません。限()界()革()命()、大()恐()慌()、スタグフレーション、そして2008年()やコロナ後()のインフレ——危()機()のたびに、それまでの自()分()の弱()点()を突()いた批()判()側()の道()具()を取()り込()みながら形()を変()えてきました。それが 折衷() 対()立()する2つ以()上()の考()え方()の、良()いところを組()み合()わせること。 もっと詳()しく → の現()在()形()です。

強()みは、 大()平()穏()期() 1980年代()半()ばから2007年()ごろまで続()いた、物価()も景()気()も穏()やかだった時()代()。 もっと詳()しく → の実()現()と、2008年()・コロナという2度()の恐()慌()を防()いだ実()務()的()な回()復()力()にあります。弱()みは、2008年()危()機()を事()前()に見()通()せなかったこと、2021年()のインフレを「一時()的()」と読()み違()えたことです。どちらも消()さずに並()べて見()ることが、この理()論()を正()しく評()価()する唯()一()の方()法()だと、このページは考()えます。

MMTやマルクス経済()学()のような挑()戦()者()からの批()判()は、主()流()派()にとって単()なる外()野()の声()ではありません。第()6章()で見()たとおり、批()判()の一()部()( 内()生()的()貨()幣() 銀()行()が貸出()と同()時()に、借()り手()の口()座()へ新()しい預()金()を記()帳()して生()み出()す仕()組()み。 もっと詳()しく → 、行()動()経済()学())はすでに主()流()派()自()身()の道()具()箱()に組()み込()まれています。主()流()派()が今()後()どう変()わっていくかは、 FTPL 財()政()物価()水()準()理()論()。財()政()収()支()と物価()水()準()を直()接()結()びつける理()論()。 もっと詳()しく → や HANK 家()計()ごとの所()得()・資()産()の違()いを組()み込()んだニューケインジアンモデル。 もっと詳()しく → モデルのような「修()正()の最()前()線()」(第()5章())が、次()の危()機()でどう試()されるかにかかっています。

ほかの学()派()との比()較()や、局()面()別()の処()方()箋()については、比()較()地()図()トップの局()面()別()の処()方()箋()もあわせてご覧()ください。

GLOSSARY

用()語()集()

新()しい新()古()典()派()総()合()
ケインズ的()な短()期()の考()え方()と、新()古()典()派()的()な長()期()の考()え方()を組()み合()わせた、現()在()の主()流()派()経済()学()の正()式()名()称()。ニューケインジアンとほぼ同()義()で使()われる。
メニューコスト
価()格()を変()更()する際()にかかるコスト(値()札()の張()り替()えなど)。企()業()がすぐには値()段()を変()えない「価()格()の粘()着()性()」の理()由()のひとつ。
テイラールール
インフレ率()の目()標()からのズレと、需()給()ギャップから、目()標()金()利()を機()械()的()に算()出()する公()式()。1993年()にジョン・テイラーが提()案()。
インフレ目()標()
中()央()銀()行()が「物価()上()昇()率()を年()2%()程()度()にする」のように数()値()目()標()を公()約()し、人々()の予()想()(期()待())を安()定()させることを通()じて運()営()する金()融()政()策()の枠組()み。世()界()で最()初()に正()式()導()入()したのは1990年()のニュージーランドで、現()在()は主()要()中()央()銀()行()の世()界()標()準()になっている。
DSGEモデル
動()学()的()確()率()的()一般()均()衡()モデル(Dynamic Stochastic General Equilibrium model)の略()。ニューケインジアンの枠組()みを数()式()化()したもので、家()計()・企()業()・政()府()・中()央()銀()行()が将()来()を予()想()しながら行()動()する様()子()をコンピュータ上()で再()現()する。FRB・日()銀()・ECBなど中()央()銀()行()の標()準()的()な分()析()ツール。
NAIRU
インフレを加()速()させない失()業()率()の下()限()。この水()準()を下()回()ると、賃金()・物価()が上()昇()しやすくなるとされる目()安()。
大()平()穏()期()(Great Moderation)
1980年代()半()ばから2007年()ごろまで続()いた、インフレも景()気()変()動()も比()較()的()穏()やかだった時()代()の呼()び名()。
内()生()的()貨()幣()
銀()行()が貸()し出()しを実行()すると同()時()に、借()り手()の口()座()に新()しい預()金()を記()帳()して生()み出()す、という貨()幣()創()造()の順()番()についての考()え方()。「銀()行()はまず預()金()を集()め、それを元手()に貸()し出()す」という昔()ながらの説()明()とは逆()の順()番()になる。2014年()にイングランド銀()行()が公()式()に認()め、現()代()の標()準()的()な理()解()として定()着()した。ただし、中()央()銀()行()が金()利()を通()じて最()終()的()に貨()幣()量()をコントロールできるかどうかについては、主()流()派()とMMTで評()価()が分()かれる。
公()開()市()場()操()作()
中()央()銀()行()が国()債()などの有()価()証()券()を市()場()で売()り買()いすることで、金()融()機()関()の準()備()預()金()量()や短()期()金()利()を調()整()する金()融()政()策()の手()段()。
量()的()緩()和()(QE)
金()利()をこれ以()上()下()げられない時()に、中()央()銀()行()が国()債()などを大()量()購()入()してお金()を市()中()に供()給()する政()策()。日本()銀()行()が2001年()に先()行()して導()入()し、2008年()以()降()は各国()の標()準()装()備()になった。
IORB(準()備()預()金()付()利())
Interest on Reserve Balancesの略()。中()央()銀()行()が民()間()銀()行()の準()備()預()金()残()高()に対()して支()払()う付()利()金()利()。この金()利()水()準()を上()げ下()げすることで政()策()金()利()を制()御()する(アンプル・リザーブ体()制())。
アンプル・リザーブ体()制()
FRBが2019年()から採()用()する政()策()金()利()の制()御()方()式()。準()備()預()金()の量()を絞()り込()む「希()少()性()の操()作()」ではなく、IORB(準()備()預()金()付()利())などの管()理()金()利()を設定()して金()利()を制()御()する。
FAIT(平()均()インフレ目()標())
過()去()のインフレ未()達()を将()来()のオーバーシュートで埋()め合()わせる、2020年()にFRBが導()入()した戦()略()。2025年()の枠組()みレビューで撤回()され、伝()統()的()な柔()軟()なインフレ目()標()(FIT)に回()帰()した。
FTPL(財()政()物価()水()準()理()論())
財()政()収()支()と物価()水()準()を直()接()結()びつける理()論()。ジョン・コクランらが代()表()的()論()者()。コンセンサスではなく有()力()な一()潮流()。
HANK
家()計()ごとの所()得()・資()産()の違()い(異()質()性())を組()み込()んだニューケインジアンモデル。学()術()研()究()では主()流()化()が進()む一方()、中()央()銀()行()の実()務()では計()算()負()荷()の重()さから補()完()的()な位()置()づけにとどまる。
折衷()
対()立()する2つ以()上()の考()え方()の、良()いところを組()み合()わせること。相()反()する立場()や理()論()の要()素()を組()み合()わせて一()つの体()系()にまとめることで、ニューケインジアンはケインズ経済()学()と新()古()典()派()経済()学()を時()間()軸()で使()い分()ける折衷()理()論()とされる。

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FURTHER READING

参()考()文()献()

まずは標()準()教()科()書()1冊()と、最()新()の実証()研()究()1本()を読()み比()べてみることをおすすめします。

  • 中()央()銀()行()の公()式()資()料()Michael McLeay, Amar Radia and Ryland Thomas, “Money creation in the modern economy(現()代()経済()における貨()幣()創()造())”(イングランド銀()行()『四半()期()報()告()書()』2014年()第()1四半()期()号()) ── 「貸出()が預()金()を生()む」という内()生()的()貨()幣()を中()央()銀()行()自()身()が公()式()に認()めた文()書()。第()4章()で紹()介()。
  • 標()準()教()科()書()N・グレゴリー・マンキュー『マンキュー経済()学()』── 世()界()で最()も読()まれている主()流()派()の入()門()教()科()書()。
  • 標()準()教()科()書()ポール・クルーグマン、ロビン・ウェルズ『クルーグマン マクロ経済()学()』── ノーベル賞()受()賞()者()による、もう一()つの定()番()教()科()書()。
  • 主()流()派()・近()年()オリヴィエ・ブランシャール『21世紀()の財()政()政()策()』── 低()金()利()・高()債()務()の時()代()に、財()政()政()策()のあり方()を主()流()派()の枠組()みから再()検()討()した近()年()の代()表()作()。
  • 実証()研()究()Ben S. Bernanke and Olivier Blanchard, “What Caused the U.S. Pandemic-Era Inflation?”(NBER Working Paper 31417、American Economic Journal: Macroeconomics誌() 2025年()掲()載()) ── コロナ後()インフレの主()因()を実証()分()析()した研()究()。第()5章()で紹()介()。
  • 公()式()レビューFRB 2025年()枠組()みレビュー(2025年()8月()完()了()、ジャクソンホール会()議()で公()表()) ── FAIT撤回()を含()む枠組()み見()直()しの一次()資()料()。第()5章()で紹()介()。
  • 公()式()レビュー日本()銀()行()「金()融()政()策()の多()角()的()レビュー」(2024年()12月()19日()公()表()) ── 非()伝()統()的()金()融()政()策()25年()分()の総()括()。第()5章()で紹()介()。
  • 実証()研()究()Ihrig and Wolla(2022, Journal of Economic Education) ── 入()門()教()科()書()とアンプル・リザーブ体()制()の整()合()性()を採()点()した研()究()。第()4章()「教()科()書()と実()務()の乖()離()」で紹()介()。

※本()ページはこれらの出典()をもとに、賛否()両()論()を尽()くして要()約()したものです。特()定()の政()策()的()立場()・投()資()判()断()を推()奨()する意()図()はありません。

このページで覚()えておいてほしいこと

この記()事()は「経済()学()の地()図()」深掘()りシリーズ第()3弾()です

主()流()派()経済()学()(ニューケインジアン)は、比()較()地()図()の6学派()の中()で最()も広()く採()用()されている理()論()ですが、「なぜ主()流()なのか」「どこで負()けたのか」まで踏()み込()むと、単()純()な勝()者()の物語()では終()わらないことが見()えてきます。あわせて経済()学()の地()図()のトップページもご覧()ください。

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